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オリンパス株式会社の元役員6名から受任した訴訟に関し、和解が成立しました

1 オリンパス株式会社(以下「会社」といいます。)が、元取締役である高山修一氏、森
 嶌治人氏、柳澤一向氏、塚谷隆志氏、川又洋伸氏及び大久保雅治氏(以下「依頼者」とい
 います。)に対して、平成24年1月8日、取締役の善管注意義務に違反したとして、東
 京地方裁判所に提訴した下記事件に関し、当事務所の蓑毛良和弁護士、志甫治宣弁護士、
 小田切豪弁護士、市川浩行弁護士は、訴訟代理人を務めて参りましたが、平成28年3月
 24日、和解が成立しましたので、ご報告致します。
                    記
平成24年(ワ)第174号、平成24年(ワ)第8257号
取締役に対する損害賠償等請求事件
原告 オリンパス株式会社
参加原告(共同訴訟参加人) 特定株主
被告 依頼者ほか
依頼者に対する請求金額(いずれも連帯債務。但し、川又洋伸氏は在任時期の関係で(2)
の請求のみである。)
(1)国内3社(後記2の定義による)に関して
   参加原告による請求の拡張後の請求金額
   金22億0925万円(当初の請求金額は金2億5000万円)
(2)ジャイラス社(後記2の定義による)に関して
   参加原告による請求の拡張後の請求金額
   金24億4750万9788円(当初の請求金額は金2億5000万円)

2 事案の概要
  本件は、会社の取締役会決議に基づき、会社が株式会社アルティス、NEWS CHEF株式
 会社及び株式会社ヒューマラボ(以下「国内3社」といいます。)の株式を取得したこと
 (以下「国内3社株式取得」といいます。)、及びGyrus Group PLC(以下「ジャイラス
 社」といいます。)の買収に伴いファイナンシャルアドバイザーに対し、報酬名目で同社
 のワラント購入権と優先株を交付し後にこれらを取得したこと(以下「ジャイラス社優先
 株等取得」といいます。)が、結果として、いわゆるオリンパス事件と称される会社の一
 連の粉飾決算に関与した取締役(以下「関与者」といいます。)により、平成10年(1
 998年)頃から構築・維持されていた損失分離スキーム(受け皿ファンドをして、原告
 が保有していた多額の含み損(損失)を抱える金融商品等を買い取らせて保有させること
 により、原告の連結会計から損失を分離するスキーム)の解消に悪用されたという事案で
 した。

3 会社の主張及び被告の主張の概要
  会社は、平成20年2月22日開催の取締役会における国内3社株式取得の決議、同年
 9月26日開催の取締役会におけるジャイラス社のワラント購入権取得及び同社優先株発
 行の決議、並びに平成22年3月19日開催の取締役会におけるジャイラス社優先株取得
 の決議において、依頼者を含む取締役が善管注意義務に違反し、当該善管注意義務違反に
 起因して会社に損害が発生したと主張しました。
  これに対し、当方は、概要、「損失分離スキームの構築・維持並びにその解消は、関与
 者と外部協力者により巧妙に仕組まれたものである。関与者は、上記各取締役会における
 議案を承認に導くべく、その必要性、相当性及び合理性を示す様々な資料を周到に準備し、
 説明を行った。したがって、依頼者の認識し得た事実を前提とすれば、上記各取締役会の
 議案の内容は合理的なものといえる。また、依頼者は、M&Aを通じた積極的な新規事業の
 創生を図るという会社の経営計画のもと、所管部署の作成した資料や情報を信頼して、議
 案に賛成したのであるから、依頼者に善管注意義務違反はない。さらに、国内3社株式取
 得及びジャイラス社優先株等取得は、既に発生した損失の分離状態を解消するために行っ
 たものであって、取得のための資金は会社に還流しており、会社には、損害が生じていな
 い」旨主張して争いました。

4 和解の概要
  当方は、依頼者に法的な責任(善管注意義務違反)はないものの、依頼者が決議に賛成
 した国内3社株式及びジャイラス社優先株等の取得代金が損失分離スキームの解消に利用
 されたことは事実であり、依頼者としては、このことについて株主をはじめとする会社の
 関係者の皆さまに対して、お詫びする意思を有していること、訴訟の長期化による心理的
 な負担が大きいこと等の諸般の事情に鑑み、判決による解決ではなく、会社に一定金額を
 支払う内容での和解が望ましいと考えました。
  そのようなところ、裁判所より、会社、参加原告、並びに被告のうち関与者でない元取
 締役13名(依頼者含む)に対し、
  請求金額合計46億5675万9788円(当初請求金額合計5億円)に対し、
  合計で金7197万0600円
  を解決金として支払う内容での和解の勧告がありました。
  当方としましては、裁判所の和解勧告の内容は、法的な責任があることを前提とするも
 のではなく、株主をはじめとする関係者の皆さまに対するお詫びの意思を示すものとして
 適切であると判断してこれを受諾し、和解が成立致しました。
                                       以上